ちょっと乗鞍からの朝日を拝みに行ってきた
年に一度の長期休暇が今年もやってきた。
去年は四国ツーリングに行ってきたけど、今年はいかんせん金が無い。
しかも長期休暇取るのを決めたのも2週間前と急だったので予定も無い。
あ、乗鞍行くか。
またかという声も重々承知ですがそんなの関係ない。お金をそれほどかけずに絶景を拝みたいなら乗鞍しかないんだもんね。ハハ。
と言っても、乗鞍はこれで今年4回目。流石にただ登りに行くだけじゃ芸が無いので、畳平にある宿、銀嶺荘に泊まって夕日と朝日を拝むやつをやりたい!
という訳で、1日目は自走で高山市まで行くことに。
気分的にある程度の距離を走りたい気分だったのと、ロングでのボーラの使い心地も試したかったのもある。
まぁ、この日は完全に移動日なので特に特筆して書くようなこともなかったり。
41号線をただひたすら北上するだけのお仕事。
途中の下呂温泉の足湯できうけい。だいぶ脚が楽になった。
下呂温泉を抜けると、高山市街に入る標高755mの宮峠まで50kmの登り基調。
スタミナは全然大丈夫なんだけど、背中に背負ったバックパックが何より辛い。
なんせ、乗鞍に備えて冬装備一式を詰め込んでるから荷物が多いのだ。
荷物はできるだけ減らしたいけど、この時期の乗鞍は下手すれば気温が氷点下まで達する。そんな中でのダウンヒルは考えただけでも凍える。
いい加減バイクパッキング装備揃えないと…。
そんなこんなで宮峠を越える。ちなみにこの宮峠、日本海へと注ぐ宮川と太平洋へと注ぐ飛騨川の分水嶺となっており、これまで川を上流していたのがこの峠を越えると今度は川を下る形になるのだ。
そして着きました高山。高山駅は改修中だと聞いてましたが、どうやら10月から新駅舎がお目見えになったらしくとてもきれいになってました。
この日の総走行距離は160.3km、アベレージ26.6kn/hのライドとなりました。
ちょっとカフェで一服したあと、この日の宿へ。
今晩の宿はJ-HOPPERS高山。一泊2700円からで泊まれるユースホステル。
相部屋にはなるけどシャワールーム、洗濯機、自炊室、PCと必要なものは一通りそろってる。
平日なのもあるけどさすが高山、宿泊客はみんな外国人。
宿に荷物を置いて早めの晩飯へ。飛騨牛は前回堪能したので、まだ食べたことが無かった高山ラーメンを食す。
桔梗屋さんのチャーシュー麺。スープはめちゃめちゃあっさりしてるけどチャーシューはがっつり。飲み会の締めにはもってこいな感じ。
お宿に戻り、シャワーを浴びてウェアを洗濯する。
宿のお兄さんと話したけど、どうやら昔銀嶺荘でバイトしてたとのこと。
「あそこは良いですよ!」とお墨付きを頂くけど、そりゃああそこに泊まれるんだからそうでしょうなぁ。
洗濯物を干したところで、早めの就寝。
…。…。がばり。朝だ。
…。寒っ!
充電していたスマホを取り出し、この日の高山の気温を調べてみるとなんと最低気温8度。
さすが山間部、10月にして都会の真冬並みの気温。
天気は曇りだけど、寒暖差の大きいこの時期は日が出てくると晴れるんだろう。
とりあえずウェアはモンベルのメリノウールインナー、夏ジャージの上から7meshの前面防風ジャージを。
朝はこれくらいで丁度よく走れるくらいの気温だった。
高山駅内のカフェで軽めの朝食とコーヒーをば。
この日は高山から一気に乗鞍へ…の前に、ちょっち寄り道を。
ここは飛騨地方。飛騨と言えば…そう、映画「君の名は」の聖地である。高山市街地から15kmほど北上したJR飛騨古川駅周辺が聖地にあたるのだ。
のりクライムの前にはちょうど良いアップという訳で、一旦バックパックを駅のコインロッカーに預けて飛騨古川駅まで。
まずは気多若宮神社。ヒロインの宮水三葉が巫女を務める神社のモデル。正確にはここと、高山市にある神社のハイブリッドが宮水神社らしい。
宮水三葉です。
宮水三葉です。
三葉ちゃんと入れ替わりたい。
お次はJR飛騨古川駅。
原作そのまんまですね。ちなみにこの景色、駅ホーム内の連絡橋ではなく、ホーム外から線路を跨ぐ連絡橋から撮れます。改札を通る必要はないのでそこだけ注意。
さぁ、しばし三葉ちゃんとキャッキャウフフしたところで、そろそろ乗鞍へと向かうとしますか。
晴れてきた!
高山駅でバックパックをピックアップして、いざ乗鞍へ。
乗鞍スカイラインの入り口となる平湯峠まで30km、そこから15kmほど。標高差約2,200m、距離50km弱の超級山岳コース。ワクワクすっぞ!
R158をだらだらと登る。
R158から平湯峠へ至る分岐点。ここから一気に斜度が上がり、平湯峠まで10%を下回ることはない。
平湯トゥーゲ。自走乗鞍は平湯峠まで登るのが1番キツイと思うの。
さてさて、ここから本格的にクライムオン。
平湯ゲートで例に漏れずおっちゃんに呼び止められる。この時点で14時。若干時間は遅いけど、登山指数はAだったし、登れないことはないはず。
おっちゃん「今日ね、頂上で雪がほんのちょっとちらついたみたいだから念のため自転車通行止めね☆」
出、出〜wwwwwww乗鞍登山前平湯門通行禁止奴〜wwwwwwwww
自転車乗りはついついゲート前で門前払いされがち。
とは言え登った後に下るならまだしも、登るだけなら希望はある。
何せ、今日は畳平にある宿に泊まるのだから。
その旨を説明したら、「まぁ上に泊まるんなら…。」ということで通行許可がおりる。
磐梯吾妻スカイラインのときと言い、何ちゃらスカイラインのゲートのおっちゃんは話が分かる。
さぁさぁ、平日ど真ん中。
他の自転車も無い。
二輪車では私だけが乗鞍を独り占め。うひょー!
それにしても雲が近い。こりゃ頂上付近はホワイトアウトしてるだろうなぁ。
夫婦松展望台を過ぎたところで、一瞬ではあるがポツッと上から水滴が。
ありゃりゃ、こりゃあんまりのんびりはしてられない。
うーむ、でも景色は良いのよなぁ。
森林限界を越える頃にはご覧の通り。風が山肌に沿って流れる様子が見えるくらい。さむーい!
こりゃ早く登らないと。
時折すれ違ったり追い抜いていく車両に乗ってる人がみな一様に二度見する。
ハハ、そりゃそーだ。
畳平着きました。現在気温-1度ですw (@ 畳平 in 高山市, 岐阜県) https://t.co/bpYIJPOWCq pic.twitter.com/TiXGb8Ymlo
— おっでー (@evil_jawbone) 2016年10月12日
畳平、まさかの氷点下()
頂上についてすぐにバスの待合所に入り、売店で豚汁を注文。
豚汁を流し込むと、久し振りに熱いものが身体を通り抜ける感覚を実感した。
あぁ〜生き返るんじゃ〜
ふとスマホを見ると、銀嶺荘から生存確認の不在着信が(笑)
折り返しの電話をかけ、今日無事に宿泊できる旨を伝える。
豚汁を流し込んだけど、それでも依然身体の震えは収まらない。
あ、これはアカンやつや。
早々に宿にチェックインする。
何を隠そうこの銀嶺荘、こんな山の上だというのにお風呂に入れるのだ。
ここは標高2,702m。そもそも水が貴重な資源なのに風呂に入れるというのは、まさに山上のロイヤルホテル。
でも、チェックインしたのが16時で風呂に入れるのが16時半から。
あぁぁぁぁぁ早く風呂に入らないと死ぬ!寒い!
しばし部屋で待機するけど、暖房器具がファンヒーターしかない。
いや、そもそも個室があるだけで、布団があるだけで、暖房器具があるだけで贅沢なのは重々分かってるけども!も!
風呂に入るまでの30分ほど、ファンヒーターの前でgkbrしながら待ち続ける。
そして。待ちきれず、5分ほど早めに浴場へと向かう。
脱衣場を覗いてみると、誰もいない。
浴槽を覗くと、広さ的には10人も入るか怪しいくらいの広さ。
何か、田舎にある親の実家の風呂がこんなかんじだったなーという感じ。
そして。浴槽には並々と湛えられたお湯。
あぁ、天国はここにあったか…!
ルパン並みの早さで服を脱ぎ、軽く身体を洗い、浴槽に肩まで浸かる。
いや、もうね。
人生で1番気持ちいいお風呂だったと、末代まで語り継ぐ自信がありますよ。
「風呂は命の洗濯よ♡」
ミサトさんはそう言ってたけど。
嗚呼、こういうことなんですね、ミサトさん。
心も身体も、とろとろと、溶けてしまいそうなくらい浄化されていくみたいだ。
そして、空っぽになった心と身体を、熱い血が巡っていく。
これは…良い…冥土の土産に…。
は、アカンアカン。余りにも気持ち良すぎて昇天するところだった。
ちょうど他の宿泊者も浴場に入ってくる。
そしておっちゃんもお湯に浸かる。言葉は交わさなかったけど。
「最高の風呂だ。」
これだけは共有できたことであろう。
風呂から上がり、部屋に戻って夕食の時間まで布団に潜る。
お風呂で完全に身も心もふやけてしまったのか、今日一日の疲労が一気に身体にのしかかる。
人間、ホントに疲れていると自分が疲れているという認識すらできなくなると言う。
この異常なまでの身体の重さも、人間が正常な知覚を働かせている証拠なのだろうか。
「自転車は、幸せの閾値を下げてくれる。」
誰かがそう言っていたけど、お風呂に入ると気持ちいいし、空腹な時にご飯を食べるととっても美味しいことがこんなにも幸せなんだ。
だから、この身体の重さも、自分が生きている証なんだと…と…。
いや、これ軽く風邪ひいてるだけじゃないのかwwww
さっきからくしゃみ止まらないしwwww
まぁ、とりあえずご飯の時間まで暖かくして布団で休む。
人間ちゃんと休息をとることが1番の健康法ですよ。
さて、ご飯の時間。銀嶺荘の食堂へと向かう。
あぁ!
あぁぁ!!
あぁぁぁぁぁぁ!!!!!
もはや多くは語るまい。
ただ一言、美味かったと。
さて、20時を過ぎた頃、急にスマホの電波が入らなくなる。
この銀嶺荘の電源は自家発電のため、恐らく節電の関係で夜間は電波を受信できないのだろう。
夜は満点の星空を拝もうと思ったけど、まだ雲が出てるし、月明かりもあるため見れなさそう。
テレビもBSしか見れないし、こりゃ寝るしかないってわけで布団に入る。
…。…。夜中の2時、ふと眼を覚ます。トイレで用を足し、部屋に戻ってふと窓を開けてみる。と。
星!見えるじゃん!
子供のようにテンションが上がり、カメラを持ち出す。
始めようか、天体観測。
はー…。
ビューティフォー…。
何も言えねぇ…。
寒さも忘れて、ひたすら天体観測。標高2700mから眺める星空、贅沢すぎる。
ちなみに今回は一眼ではなくコンデジ(Canon PowerShot S120)を持ってきたのだけど、星空撮影モードが搭載されているお陰で、きちんとカメラを固定してあげればコンデジでもこのように綺麗に星空を撮ることができる。
さぁ、星空も十分堪能したし、これなら綺麗な朝日も拝めそう。
というわけで、再びオフトゥンにログイン。
…。「おきてくださーい、朝ですよー!」
綺麗な女の人の声がする、と思ったら社畜ちゃんアラームだった。
おはよう、おはよう。まぁ僕は今日もおやすみだけどね。
窓を見ると、若干東の空が明るくなり始めていた。
ぬっ!ご来光を拝まなくては!
あったかい缶コーヒーで身体を起こし、最大限の防寒装備を整え、バイクと共に外へ出る。
さ、寒みー!!!
とにかく寒い。どれだけ寒いかと言うと、マイナス5度まで対応のはずのシマノの防風・防水機能付きウィンターグローブをしてても手が痺れるくらい寒い。
宿の人が朝の予想最低気温がマイナス3度と言ってたけど、なるほど寒い。
太陽は東から登るので、位置的には松本側が1番よく見えるはず。
まだ5時台なので県境のゲートは閉まってたけど、脇からちょっと失礼して長野県にチェックイン。
黄金色に色づき始める空と、眼下に広がる雲海。
そして、ここまで連れてきてくれた我が愛車。自転車乗りとしては、この上ない幸せだ。
最高の朝が来た。
世界が、色付き始める
これだよこれ、これが見たかったんだ!
いや、自分が思い描いていた以上に最高な景色だ。
世界で最も美しい朝。
こんな素晴らしい世界なのに、聞こえてくるのは風の音と鳥のさえずりだけ。
眼に入る景色を妨げるモノが一切無い。
五感の全てを使って、この美しい景色を噛みしめている。
シャッターを押す指が止まらないけどこの眼で、この景色をしっかり刻むことも忘れずに。
G3スポークはエロい、はっきり分かんだね。
これをやりたいがために、わざわざ重たいボーラクリンチャーで乗鞍まで登りに来ましたw
さぁ、最高の朝には最高の朝食だ。
朴葉味噌だぁぁぁぁぁぁ!!!
ご飯をモリモリおかわりする。
うめぇ、ただひたすらにうめぇ。
朝ごはんを終えて、帰りの準備をば。
8時半にお宿をチェックアウト。
この頃には太陽もだいぶ出てきて、気温も幾分マシになったけどそれでも寒いのでビンディングシューズにカイロをインストール!
さぁ、下るぞ!
下りでもシャッターは止まらない。
晴れ渡る空に、雄大な山の景色。
乗鞍は北アルプスの南端にあたるため、北アルプスの峰々を横目に自転車で駆け抜けることができる。
これも、乗鞍を愛する理由の一つ。
登山にちょっとでも興味を持つ人なら、誰もが憧れる名峰がズラリ。
いつかはあそこに行きたいね。
そして、平湯ゲートを通過。
平日なのにすでに登ってる人や準備をしてる人がちらほら。
とりあえず最高だったと、伝えておきました。
とりあえず平湯温泉まで下り、バスターミナルの足湯で暖をとる。
ていうか、むちゃくちゃ熱いな。
思わず隣に居た外人さん夫婦と顔を見合わせ、「It's hot! hahaha!」と。
さて、これからどうしよう。
当初は高山まで下り、せせらぎ街道を通り郡上八幡経由で帰ろうかなと思ってたけど、もうすっかりお腹一杯だ。
最近のツーリングでは、帰りは随分あっさりとしてしまうことが多くなってしまった。
まぁ、帰りも自走だと旅の余韻もなにもないもんなぁ。
そうだなぁ、特急ワイドビュー飛騨で帰るか。
そうと決まれば、行動は早い方が良い。
平湯から高山まで、一気にダウンヒル。ディープリムでのダウンヒル気持ちいいいいいいいい。
ひたすらペダルを回し、1時間とかからず高山へ。
手早く昼飯の飛騨牛ライスを食す。
その後駅まで移動し、輪行モードへ移行し、特急券を購入してワイドビュー飛騨に乗り込む。この間30分とかからず。
着替えてないけど、ラファのウェアなら人目も気にならないね()
さようなら高山。ありがとう乗鞍。また来年も来るよ!👋
ワイドビュー飛騨からは、つい先日走ったばかりの道が常に見える。
あぁ、今年1のツーリングだった。
そういえば、完全にソロで乗鞍を登ったのは3年ぶりだったなぁ。
どこをどう見ても、乗鞍は絶景だった。
それこそ、乗鞍で見ることのできる景色はおおよそ堪能したんじゃないかと思えるくらいだけど、間違いなく来年も登ってるだろうな。
来年はどんな景色が見れるかな。
まだ見ぬ絶景に思いを馳せて、帰路に就くのでした。
おわり