速く走る
「なぜ自転車に乗るのか?」
そう聞かれたら私は「趣味です」と答える。
世の大多数の自転車乗りは同じような返しをするだろう。
まぁ、確かに休日ともなれば自転車中心の生活になってる感は否めないものの、自転車で飯を食ってるわけではない。
限られた時間と資金をやりくりして、趣味を楽しむ。何事もメリハリを付けてやるのが大事だ。ただ徒に時間だけを消費して趣味に没頭するのは、趣味を満喫してると言えるだろうか?
確かにただ自転車に乗ってるだけで楽しい時期もあるだろうが、いずれすぐにその時期も過ぎ去る。
どんな趣味にも言えることだが、自分で自分なりに工夫して楽しむ努力をしなければ趣味は続かない。
閑話休題。
「速さ」
この単語を聞くと、どこか敬遠する自転車乗りも多いのでは無いだろうか。
「私、そんな速く走れないし…。」
「ガチ勢と走るのはちょっと…。」
「ディープリムとかデュラエースとか、そういうレース機材は私には…。」
自転車に乗ってると、所謂ガチ勢の勢いに気後れするのも分かる。
高そうな機材付けてるし、有り得ないスピードで有り得ない距離を走るし、平気でゆるポタ詐欺するし。
自由気ままに自転車に乗りたい人からすれば「そんな速く走っても…。」となるだろう。
でも、待ってほしい。
自転車に乗って走ることにおいて、「はやさ」は悪になるだろうか?いや、ならない。
はやく走れるということは、それだけ遠くに行けるということだ。ことツーリングにおいて、この事実は正義だ。
更に言うなれば、同じ100kmの距離を4時間で走るのと8時間で走るのとではどちらが疲れるか。
これは確実に、4時間で走るほうが疲労は少ないはずである。
自転車というのは長距離を走るから疲れるのではない。ムダに長時間自転車に乗るから疲れるのである。
極論、疲れる前にさっさと走りきればいいのである。その方がパンクとか事故といったトラブルに遭う確率も自ずと減ると言うものである。
早く目的地に着けば、それだけ時間にも余裕ができる。良い事づくめだ。
じゃあどうしたら「はやく」走れるのか。
先に結論を言うなら「レーシーなポジションにレーシーな機材で走れ」ということである。
最近は快適性に重点を置いたエンデュランスロードも台頭してきているが、個人的には必ずしもエンデュランスロードがロングライドに向いているとは思わない。
まず長いヘッドチューブ。これが頂けない。カタログには「リラックスしたポジションが取れる」なんてあるが、これではハンドルとサドルの落差が出ない。
落差が取れないと深い前傾姿勢が取れず空気抵抗が増える、のもあるがそれ以上にデメリットなのがサドルへの荷重が増えることである。
自転車において最も理想的なポジションは、効率よくペダルへ荷重ができるポジション。
即ちハンドル、ペダル、サドルの3点に効率よく分散すること。
特にペダルへの荷重は、それこそ速く走らないことには出来ない。
そして、「走れるときにガンガン走る」
実業団で一線を張る大学からの友人曰く、「速く走る=身体は楽にスピードを出すこと。そこからスピードを引けば、楽に長く走れる」とのこと。
速く走るというのは、決して体力をすり減らして走ることではなく、あくまで効率よく走るためのもの。
効率よく走るためなら、お高いレース機材を使うのも全然アリだと思う。(もちろん、自分の脚質や使用用途に十分照らし合わせる必要はあるが)
ヒルクライムでしか使えない超軽量機材のようなワンオフ機材でもない限り、レース機材はプロの過酷な使用環境に耐えうる耐久性と性能を持ち合わせている。
なら、それを使わない手は無いじゃない?それにレース機材ってカッコいいしね(これ重要)
どうせお金を出すなら、自分のモチベーションが上がるものに金を出した方が良いに決まってる。
さて、ここまでダラダラと自分なりの経験則を書いてきたが、自転車に乗る上で「速く走ること」以上に重要なことがある。
それは、挑戦すること。
挑戦と言っても、レースで優勝するとか1000km走りきるとかそんな大したものじゃなくて良い。
「あそこに行きたい」とか、「美味しいご飯食べに自転車乗ってカフェ行きたい」とかそんなんでも良いんです。
自転車に限らず、何か小さなことでもいいから挑戦なり試行錯誤しないことには趣味は続かない。
趣味なんだから、特に気負わずやっていけば、案外得られる物も多い。