【インプレ】Campagnolo BORA ONE 50 クリンチャー
今までの私のホイール遍歴としては、シマノR500→MAVIC コスミックエリート→wh-9000 c24とそんなに多くはない。
1番使用期間が長いのは大学時代に購入したc24。かれこれ3年くらい、ツーリングに通学にレースと使い倒しただろうか。
c24はいいホイールだと思う。コスパいいし、ハブもよく回るし、軽いし、何より懐が深い。生き残るために無人島に1つホイールを持ってけって言われたら、このホイールを選ぶ。
山岳コースにおける性能は言わずもがな。平坦はどうかと言うと、悪くはない。空力とハブの良さで、24mmハイトのホイールの中では平坦巡航は良いほうだと思う。少なくとも前に使ってた30mmハイトにエアロスポークのMAVICよりは確実に良い。
とまぁいきなりc24のインプレみたいになってしまったが、逆に言えばそれだけ良いホイールだと言うことだ。
ただc24に抱く不満は2つあった。
1つは、中速域〜高速域からの加速性能。集団走行中の速度の上げ下げやアタックをかけるときなど、もう一段さらに速度を上げるときになるともっと剛性が欲しいなと思うときが多々あった。
薄いアルミリムにカーボンを貼るという構造のこのホイールに、そこまでの剛性を求めるなんて酷だとは思うけどね。
そしてもう1つ、性能には関係ないけど非常に大事なこと。それは見た目の地味さ。
もうね。これは致命的だ。遊び心なんて微塵も感じられない。
自転車に乗ることで生計を立てていて、とにかく性能の良いホイールが欲しいと言うならまだしも、世の中の大多数の自転車乗りは趣味で自転車乗ってる。
機材との相性もあるだろうが、情報が溢れるこの時代、性能の良し悪しはある程度は使わなくても分かる。同じ性能の良い機材で、尚且つ趣味に身銭を切ってまで金を出すならカッコイイほうが良いに決まってる。
というわけで社会人になった時からずっと目をつけていたのが、今回お迎えしたこちらのホイール。
はい、Campagnolo BORA ONE 50クリンチャーです。
チューブラーではないところがミソ。確かに軽さとか乗り心地とか、性能で言えばチューブラーに軍配があがることは確かなんだろう。
でも、やっぱり敷居が高い。
自転車の走行性能の大半を決定づける足回りは、やっぱり馴染み深いクリンチャーにしておきたい。でもやっぱりカーボンホイールには憧れる。そうした自転車乗りのパラドクスに、カーボンクリンチャーの需要はあるのだろう。
もちろん、気軽に色んなタイヤを試せるのも大きい。事実、ボーラには最初ワイドリムに合わせて25cのあるメーカーのタイヤを嵌めていた。
しかし、これがまぁ走りが重くてたまらなかった。初めはホイールそのものがダメなのか?と思うくらいだったが、23cに戻したらこれが調子良かった。チューブラーだとこう気軽にはいかない。普段クリンチャータイヤを履いてると気付かないが、足回りの選択肢が多いのはそれだけで武器だ。
だけど、自転車のホイールにおいてカーボンクリンチャーはまだ発展途上の領域だ。
チューブラーと違って、カーボンクリンチャーのリムはブレーキ時の摩擦熱に加えて、タイヤ内のチューブからの圧力にも耐える必要がある。
それだけの耐久性をカーボンリムに持たせるとなると、どうしてもチューブラーと比べて割高になる上にホイールも重くなってしまう。
今でこそカーボンクリンチャーの選択肢もだいぶ増えてきたが、それでも価格的に本来は勝てなきゃいけないはずのハイエンドアルミホイールに勝るものは、まだまだ少ない。
というわけで、c24に次ぐニューホイールに求めたのは「信頼に足る、実用的な重量のカーボンクリンチャー」であった。
他に挙がった候補としては、レーゼロカーボンやレイノルズあたり。特にレーゼロカーボンとは最後まで迷ったけど、c24というホイールがある以上、ここは潔くディープリムでいこうじゃないかと理由でボーラクリンチャーに。
というわけで、ボーラをインストールしてみた。
はい、カッコイイ。
もうこの御姿を拝めただけで、このホイールにした甲斐があるというもの。バイクの次元が1つ上がる勢い。
レーゼロカーボンが良かったかなーとか、そういった雑念が一気に吹き飛んだ。とにかく美しい。ただひたすらに美しい。さすがボーラ、クリンチャーになっても変わらぬ圧倒的な存在感。
さて、肝心のボーラクリンチャーのインプレ。
一貫して実感するのは、とにかくリムがしっかりしてるなということ。
以前、友人の中華カーボンクリンチャーを使ったことがあるのだけどその時は「カーボンホイールなんて使えたもんじゃないな」と思った。
当たり前だが、ボーラクリンチャーはあのCampagnoloが自信を持って世に送り出したカーボンクリンチャー。タイヤを着ける際にも不安が無いし、ブレーキレバーを握っても全く不安が無い。
そしてとにかく加速がキレッキレ。強靭なリムが、この剛性を出してるんだろうなって言うのがよく分かる。踏んだ力を逃さない。
c24ではこれ以上トルクでは押し切れないなってなってたラインが、だいぶ底上げされた感じ。
事実、ボーラを履いて大多賀峠を登ったら、何と流し気味に走ったにも関わらず自己記録を1分近く更新してた。c24ではどんだけ力が逃げていたんだろうかと、思わずにはいられなかった。
ちなみにボーラクリンチャー50の重量は1,485g。50mmハイトのカーボンクリンチャーとして軽い方ではあるが、恐らくリム重量単体で見れば重量級の部類に入るのではないかと思う。でもそれを補って余りある剛性。
ブレーキ性能は非常にコントローラブル。絶対的な制動力はアルミリムの方が上だが、スピードの調節はボーラの方がしやすい。
用途としては、レースやファストライドがピッタリかしらね。ゆるゆる走るようなホイールではない。
でもねぇ、そんな御託はどうでも良くなるくらいカッコイイ。モチベーションアガる。それだけの魅力がこのホイールにはある。
ボーラは、いいぞ。